戦前の日本で、旧制高校から帝国大学へと進む学生たちは、将来を約束されたひと握りのエリートであった。彼らはある時期まで、軍隊経験をもつ時でさえ、低学歴者にはない優位を与えられた。そ… 戦前の日本で、旧制高校から帝国大学へと進む学生たちは、将来を約束されたひと握りのエリートであった。彼らはある時期まで、軍隊経験をもつ時でさえ、低学歴者にはない優位を与えられた。それが、第二次大戦もたけなわとなる頃から、彼らも過酷な軍隊生活を送らざるを得ない情況となる。本書は、最も「貧乏クジ」を引いた学徒兵世代の恨みと諦めの声を蒐集し、世代と階級を巡る問題を照射するものである。 学歴社会崩壊がみえる『学歴・階級・軍隊』を読む かつて「学校出」「大学出」「帝大出」といった言葉がよく使われていた。出身階級以上に学歴が他者と自己を同定する属性だった。だから、学歴エリートには優越感、庶民には屈折した学歴ルサンチマン(憤懣