わたしたちはずっと、物語は素晴らしものだと教えられてきた。ここではないどこかに連れて行かれ、思いもかけない仲間と出会い、わくわくするような冒険をして、愛や献身、自由や自立など、人生にとって大切なことを教えてくれるのだ。 だがアメリカの英文学教授ジョナサン・ゴットシャルは、これまで物語の魅力を学生たちに教えてきたにもかかわらず、『ストーリーが世界を滅ぼす 物語があなたの脳を操作する』(月谷真紀訳、東洋経済新報社)で、わたしたちは「物語の闇の力」を正しく理解しなければならないと説く。なぜならいま、「物語が人類を狂わせている」のだから。 原題は“The Story Paradox: How Our Love of Storytelling Builds Societies and Tears them Down(ストーリー・パラドック わたしたちのストーリーテリングへの愛は、いかに社会を築き、そ