「出発進行!」。運転体験に参加し、運転士からアドバイスを受けながら笑顔で列車を走らせる男の子=北海道陸別町で、梅田麻衣子撮影 鉄道の廃線を利用した列車運転体験に人気が集まっている。「日本一寒い町」として知られる北海道陸別町では、5月から国内最長の片道1.6キロのコースが設けられ、予約は3カ月先までほぼいっぱい。ファンをとりこにする魅力とは−−。【小川祐希】 「汽笛を鳴らして発車してください」。神奈川県横須賀市から来た会社員、高橋直哉さん(22)が、指導員の指示でハンドルを動かすと、「ブロロロ」と低いエンジン音をうならせ、1両編成のディーゼル車がゆっくりと動き出した。時速20キロで山間部の木々の間をのんびりと走り続けると、左側を流れる利別(としべつ)川の岸にタンポポが。「景色がいいですね」。高橋さんの声が弾む。 コースは、かつて十勝とオホーツク地方を結んでいた第三セクター鉄道「ふるさと銀河線