<70年代中頃からテレビドラマとして放送された座頭市シリーズだが、今日の地上波で再放送できるだろうか──もしも勝新の前史がなかったらかなり難しいだろう。でも、不可能ではない> 座頭市のシリーズを初めて観たのは、(例によって)僕が人生において最も多く映画を観ていた学生時代だ。もちろん名画座。1989年に勝新太郎が自身で監督したシリーズ最終作は別にして、その前の25作が公開されたときは子供だったから、リアルタイムでは観ていない。 全て徹底してエンタメだ。網走番外地シリーズや『シェーン』などの西部劇にも通じる作法だが、じっと辛抱を続ける主人公の悪への怒りが最後に炸裂するというパターンは、映画としては鉄壁の黄金律だ。市は全盲という設定だから、この展開になじみやすい。 ただしそれは当時だから思えたこと。この原稿を書くために1本目の『座頭市物語』など何本かを観返したが、(差別用語が頻出することはともか