承前http://d.hatena.ne.jp/shinichiroinaba/20080904/p2 それでは「こうした社会的選択理論の使いどころはどこであり、その前提は何か」について少し考えさせてください。 ここで社会的選択理論が考える、社会的な状態、更にはその基礎になっていると思しき、個人レベルでの厚生水準等々は、ロバート・ノージックが功利主義やジョン・ロールズの思考を批判していったところの「結果状態原理」なる形容に言い当てられているように、ある種の「結果」として考えるべきものでしょう。結果的に、どの程度のGDPが実現されたのか、どの程度の識字率が実現されたのか、乳幼児死亡率はどうなったのか、どのような(税引き後)所得分配が達成されたのか、更に細かく言えば、どの産業部門でどの程度の生産実績が上がったのか、どの湖の水質基準はどのような数値に終わったのか、等々が、評価され、選択の対象とさ