現在の科学技術は、精密に計測するための基準、いわゆる「計量標準」が社会に提供されることによって成立している。独立行政法人産業技術総合研究所(以下「産総研」という)では、電圧、抵抗といった電気関連の量から、力、圧力といった力学関連の量、さらにはモル濃度のような化学関連の量まで、必要とされる分野の計量標準を開発し提供している。このような活動により、同じものを計測したとき、日本中のどこで計っても、さらには海外のどこで計っても同じ計測結果が得られる仕組みが実現されている。 これらの計量標準は、分解してみると、「長さ」、「質量」、「時間」、「電流」「熱力学温度」、「物質量」、「光度」の7つの基本量と、それらを組み合わせた組立量で成り立っている。基本量の標準の定義やその実現法などは、計量標準の根幹にかかわるものとして、「メートル条約」の活動の中でも極めて重要な課題である。それらの中で、特に最先端の