これまでの半導体産業では、微細化に微細化を重ねてきた。言わばこれは「トップダウン(top down)」の手法だ。しかし一方で、いっそのこと原子や分子といった物質の最小単位から、コンピュータを組みたててはどうかという「ボトムアップ(bottom up)」の手法も考えられるようになってきた。 現在のコンピュータの進歩は目を見張るものがあるが、弱点がないわけではない。数学者の間でよく知られている「ハミルトン経路問題」や「充足可能性問題」と呼ばれる、しらみ潰しに答を探す必要のある問題がそうだ。現在のコンピュータのそんな一面を補うことを期待して、現在研究が行なわれているのが、「量子コンピュ-タ」や「DNAコンピュータ」と呼ばれる、まったく新しいタイプのコンピュ-タだ。