ことし8月、イラク北部でイスラム武装組織「イスラム国」がヤズディ教徒(ヤジディ教徒)の町シンジャルを制圧した。殺戮や迫害が始まり、数万もの住民が町を捨て逃げ出した。退路を閉ざされた住民は山に逃げ込んだが、包囲され、イスラム教への改宗を迫られた。山で孤立し、飢えや脱水状態で命を落とすなか、アメリカ軍は、「人道上の措置」としてイラクへの限定空爆をおこなう事態となった。 アジアプレスでは、フセイン政権崩壊後、ヤズディ教徒の居住地域で広範囲にわたり現地取材を重ねてきた。イラクのヤズディ教とはどういう宗教か。どのような苦難にさらされてきたのか。これまでに記録したヤズディ教徒の姿を、7回にわたる写真特集で報告する。【報告:玉本英子・坂本卓】 (メディアでは「ヤジディ」と表記されていますが、本稿では本来の発音に近いヤズディとします) 第1回◆受け継がれてきたヤズディ教の共同体 伝統衣装をまとったヤズデ