沖縄戦を体験したお年寄りに、不眠や幻覚など、さまざまな精神症状が現れている。死体の匂いがする。死んだ人の顔が見える。歩けないほど足の裏が熱くなる。夜寝ていると体を触られている気がする。風景が白黒に見える──。6月23日の慰霊の日が近づくと不眠を訴えるお年寄りが少なくないという。雷や花火、米軍機の騒音がフラッシュバック(記憶の再体験)の引き金となることもある。 精神科医の蟻塚亮二さんは自宅のある仙台と福島と沖縄を行き来して、震災と原発事故、沖縄戦のトラウマに苦しむ人々の心のケアに取り組んでいる。 そんな蟻塚先生を沖縄市の病院に訪ね、診療の様子を見学後、インタビューした。蟻塚先生は森の奥深くに棲む、伝説上の賢人のような風貌だった。 診察室を訪れたお年寄りたちは蟻塚先生の前で、これまで家族にも打ちあけなかった戦時の忌まわしい体験と、その記憶が引き起こす症状を赤裸々に語る。彼ら彼女らは、いまも戦(
![いまなお沖縄戦のトラウマに悩まされる老人たち 蟻塚先生の診察室からの報告](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/b6e716c2ae2d21670c78f1ee33ed01fb3a843632/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fvideo-images.vice.com%2Farticles%2F5a7c2dd195860443e4c3d1a9%2Flede%2F1518087909791-aritsuka-1.jpeg%3Fimage-resize-opts%3DY3JvcD0xeHc6MC41NTg0eGg7MHh3LDAuMjIyOXhoJnJlc2l6ZT0xMjAwOiomcmVzaXplPTEyMDA6Kg)