究極の観光列車「ななつ星」の成功が火をつけたJR九州の観光列車群の頂点である豪華寝台列車「ななつ星 in 九州」は、運行開始以来丸2年が過ぎてもなお、競争率20倍以上という狭き門で、乗車希望者の途絶えぬ状態が続いている。3泊4日のコースでは一人最高約85万円という価格にもかかわらず、だ。 もちろん、この「ななつ星」の成功が、他の鉄道各社を刺激しないはずもなかった。「ななつ星」の誕生と前後して、国を挙げてのインバウンド招致が本格的に始まり、裕福なシニア世代の活発な経済活動や観光産業の隆盛も手伝って、全国の鉄道会社が一気に観光列車の運行、あるいは寝台列車計画へと雪崩を打っていくのだ。 観光列車によって活性化する地方「ななつ星」をはじめ九州で多くの観光列車を手がけてきた水戸岡は、前回も触れたように、さまざまな新素材とデザインを列車に持ち込み成功した。しかし、成功の理由はそれだけではない。特筆しな