■国民の皆の足元に及ぶ危機 ここ数年、中国や韓国を中心とした外資が日本の国土を買い漁(あさ)っているという報道が散見されます。しかし、本書の著者・平野秀樹氏によれば、「報道されているより、はるかに深刻な状況にこの国は向かい始めている」のです。 半世紀前、SF作家の小松左京は、宇宙から来た男が日本の国土を買い占めていくというユーモラスな短篇(たんぺん)小説「日本売ります」を発表しました。ところが現在、事態はこの小説に近づきつつあり、笑い話では済まされなくなっています。 平野氏は、土地にまつわる情報や法整備の不備を取り上げ、「大阪の92%、東京の79%は、地籍がない」「北海道には所有者不明の山林が4万ヘクタールもある」などの驚くべき事実とともに、国土の「不明化」が招く危機的状況に警鐘を鳴らしています。遅々として進まない地籍調査、「幽霊地主」を量産させてしまう現行の登記制度、外資による土地買収の