食品会社の営業部長という夢も希望もない仕事に従事している。特に最近は、皆さまご存じのとおり食材の高騰の影響を受けて上下左右から圧をかけられて悲鳴をあげている。そんな絶望的な職業人生でも何とかやっていられるのは、ときどき、ほんと、たまーにだけど、「人間ていいな」「自分の人生も捨てたもんじゃないな」と思えるような、きらり輝く瞬間が1か月に3秒ほどあるからだ。 先週、企画提案書の作成を部下に依頼した。部下は90年代頭から営業をやっている50代後半のTさん。この夏から本人たっての希望で企画部から営業へ異動になった僕より9歳年上の社員だ。頼んだのは、会社の衛生・消毒部門を活かす、法人向け衛生チェックパッケージの企画提案書だ。ある程度の業界経験があればできる、簡単な仕事。困難も不安もない。僕は概要を説明して「じゃ。お願いしますね」と依頼した。Tさんは「あーはいはい」といつもの、良く言えば余裕のある、悪