ボットは,パソコンに仕込まれた後,目立たずにひっそり活動する。攻撃者がボットをしかける狙いが金儲けだからだ。背景には,巨大な犯罪マーケットと,犯罪組織の存在がある。 攻撃者がボットを仕掛けて狙うのは,パソコンに眠る個人情報や踏み台とするためのコンピューティング・リソースである(図1)。 かつてのウイルス開発者の目的は,自らの開発能力を誇示したり,人が困っているのを見て楽しむことだった。だから,できるだけ広く感染させることや,ネットワークをダウンさせて人々の話題に上ることが目的となる。 ところが金銭目的の場合は逆だ。目立つのは厳禁である。目立てば,迅速に対策され,駆除されてしまう。気付かれることなく,長い間支配下に置ければ,それだけ多くの情報を盗んだり,攻撃の踏み台に使える。 では,支配下に置いたパソコンによってどうやって利益を得るのか。代表的な“ビジネス”はメール・アドレスの販売だ。ボット