この文章は、Wantedly10周年プロジェクトの依頼を受けて、とある方の人生の「転機」にまつわる実話を基に、執筆した物語です。 腹が立つと肉を焼く。落ち着くから。肉はステーキがいい。焼きがいがあるから。閉店間際のOKストアで、10%オフのシールが貼られた豪州産のステーキを吟味して、1Kのキッチンで焼く。そうやってなんとか、転職活動を続けてきた。 腹が立つのは、自分に対してだ。これまでエンジニアとして、技術力を磨いてきた。これからも磨きたいと思っている。だがそれが、面接ではうまく伝わらない。自分の説明が悪いのはわかっている。わかっているから腹が立つ。だから今夜も肉を焼く。ジュウジュウと鳴る音に耳を澄ませれば、不思議と心が静まっていく。 ◇ 僕はふだん、受託開発の会社でエンジニアとして働いている。受託開発とは、クライアントからの発注内容に合わせて、システムをつくる仕事だ。あるときは勤怠システ
![8人の面接官と432円のステーキ|岡田 悠](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/c90618fd92a277aea946d5e0ba1ebf2f88e2cbff/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fassets.st-note.com%2Fproduction%2Fuploads%2Fimages%2F82364319%2Frectangle_large_type_2_bbec62fa26b4fa59c49f8e7d052108cf.jpeg%3Ffit%3Dbounds%26quality%3D85%26width%3D1280)