Innovative Tech: このコーナーでは、2014年から先端テクノロジーの研究を論文単位で記事にしているWebメディア「Seamless」(シームレス)を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。 X: @shiropen2 米コロンビア大学や米ペンシルベニア州立大学などに所属する研究者らが発表した論文「Semi-Dirac fermions in a...
教科書がまた書き換わるかもしれません。 北海道大学で行われた研究により、新たな化学結合の存在が実証されました。 中学校の理科の教科書では「原子はお互いの電子を1個ずつ出し合い「2個で1セット」となる共有結合を形成する」と教わります。 しかし新たな研究では炭素同士の結合...
千葉大学は2024年9月2日、大阪大学や京都大学との研究チームが、ハロゲン化金属ペロブスカイトを用いて、光で物質を冷やす「半導体光学冷却」の実証に成功したと発表した。研究成果は同年8月29日、米国化学会の学術誌『Nano Letters』に掲載された。 ハロゲン化金属ペロブスカイトは、次世代の太陽電池や発光デバイス材料として注目され、発光効率が高いという特徴がある。物質は発光してエネルギーを放出する...
「ぴよりん」は愛知県の地元食材「名古屋コーチン」の卵を使ったプリンを、バニラの香り豊かなババロアで包み込み、粉末状にしたスポンジをまとわせた、ふんわり「ひよこ」の形に飾り付けた生スイーツ。 2011年にジェイアール東海フードサービスの新商品として登場したぴよりんは、新・名古屋名物として今や大人気スイーツに。交通系ICカード「TOICA」のひよこをイメージした...
Image:FlashMovie_Shutterstock 宇宙もののSFアニメや小説では、宇宙船で長距離を瞬時に移動するワープ航法のシーンが登場することがある。当然ながらこれは架空の技術なのだが、物理学者のなかには、何十年もこの移動方法の実現可能性を研究している者もいる。 もし、現実的にワープ航法を実行しようする場合、宇宙船の周囲の時空をバブル状に切り取り、その前方の時空を縮めると同時に後方を膨張させることでバブルの空間的座標を超光速で動かすことが可能だという理論がメキシコの物理学者ミゲル・アルクビエレ氏によって提唱されている。 ただし、アルクビエレ氏の説を実現しようとする場合、光の速度で移動するバブルを発生させるには、現在観測できる全宇宙に存在するよりもさらに大きな負のエネルギーが必要になるなど、現代人類の科学力では不可能な問題がいくつかある。 Image:Vadim Sadovski
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オーストラリア国立大学の研究者が、ラップフィルムよりも薄い赤外線フィルターを開発したと発表しました。このフィルターは赤外線を可視光に変換することができ、暗い場所でも周囲が見えるようになる効果が期待されています。 Enhanced Infrared Vision by Nonlinear Up‐Conversion in Nonlocal Metasurfaces - Valencia Molina - Advanced Materials - Wiley Online Library https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/adma.202402777 New all-optical approach to revolutionise night vision technology | ANU College of Science https
このコーナーでは、2014年から先端テクノロジーの研究を論文単位で記事にしているWebメディア「Seamless」(シームレス)を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。 X: @shiropen2 イタリアのフィレンツェ大学などに所属する研究者らが発表した論文「Magnetic clock for a harmonic oscillator」は、時間が量子もつれから生じるという理論モデルを提唱した研究報告である。研究チームの計算結果は、時間が物理的現実の基本的な要素ではなく、量子もつれの結果として生成されたものである可能性を示唆している。 (関連記事:「なぜ時間は過去→未来にしか進まない?」を“量子もつれ”で説明か 未解決問題「時間の矢」に切り込む) 一般相対性理論では、時間は宇宙の構造に組み込まれており、この物理的現実は時空に設定されている。こ
ブラックホールは、アインシュタインの一般相対性理論によって1915年にその存在が導き出され、2019年にはついにその様子の撮像にも成功した天体ですが、物理の法則と矛盾する性質を持つ不可解な存在でもあります。そんなブラックホールの問題を解決するために考案された仮説的な天体「グラヴァスター」の振る舞いをシミュレーションする研究により、このグラヴァスターがブラックホールの正体として有力な候補となる可能性があることがわかりました。 Phys. Rev. D 109, 084002 (2024) - Observational imprints of gravastars from accretion disks and hot spots https://journals.aps.org/prd/abstract/10.1103/PhysRevD.109.084002 Black hole sin
日本時間5月8日以降、太陽で複数回の太陽フレアが発生し、太陽風が11日に地球周辺に到来した。その影響で人工衛星の障害などが生じる恐れがあると呼びかけられた他、通常は観測できない北海道でも空が赤く染まるなど、世界各地でオーロラが見られた。国立天文台の講師・平松正顕さんは「太陽風は地球までで終わるわけではなく、もっとずっと遠くまで太陽系の中を吹き渡り、太陽系の惑星がある領域をはるかに超えて届きます」という――。 とてつもないエネルギーの源は核融合 日々空から私たちを照らしてくれる太陽。直径は地球の109倍、約140万kmにもなります。地球に生きる植物は、太陽のエネルギーで光合成を行って生きています。その植物を食べる昆虫や動物も太陽の恩恵を受けていると言えます。 そもそも、生物が生きていくのに、地球がちょうどよい温度になっているのは、太陽からの光のおかげです。地球は太陽のまわりを回っていますし、
量子爆弾検査とは何か?まずは少し深い話です。 日常の世界にある物体はおおむね見た目通りであり、ボールはボールとして存在し、投げた時も1本の軌跡だけを残します。 しかしボールのサイズをどんどん小さくしていき量子の世界に入ると、奇妙なことが起こり始めます。 量子レベルまで小さくなってしまった物体は「粒子と波」という2つの性質を同時に持つようになり、1つの物体が壁に開いた2つの穴を同時にすり抜けるといった、奇妙な現象が起こり始めます。 しかし「大きな日常世界」と「小さな量子世界」の線引きは曖昧であり、このラインより大きければ普通の挙動、このライン小さければ量子的挙動という決まりはありません。 また量子的振る舞いが起こる最大サイズを調べる研究では、肉眼で見えるサイズの物体にも量子的挙動がみられることが示されました。 1マイクログラムの目視可能サイズで「シュレーディンガーの猫」の類似実験に成功! ま
138億年前、点にも満たない極小のエネルギーの塊からこの宇宙は誕生した。そこから物質、地球、生命が生まれ、私たちの存在に至る。しかし、ふと冷静になって考えると、誰も見たことがない「宇宙の起源」をどのように解明するというのか、という疑問がわかないだろうか? 本連載では、第一線の研究者たちが基礎から最先端までを徹底的に解説した『宇宙と物質の起源』より、宇宙の大いなる謎解きにご案内しよう。 何もない真空で起こっていること クォークに働く強い力。その基礎理論は「量子色力学」と呼ばれています。 量子色力学は、電磁気力の理論と非常に似たものですが、電荷に相当する「色荷」が3種類(3色)あるところが、大きく異なります。そのために電磁気力を伝える光子に相当するグルーオンはそれ自身が色荷をもち、強い力を伝える役割を担うだけでなく、クォークと同じように、それ自身が力の源にもなるのです。すると、どうなるでしょう
理化学研究所加藤ナノ量子フォトニクス研究室の方楠客員研究員、加藤雄一郎主任研究員は、筑波大学の岡田晋教授らと共同で、1次元と2次元という異なる次元性を持つナノ半導体の界面において、室温で動く量子光源が存在することを発見した。量子通信や量子計算などの量子技術への応用を開く。 研究グループは、1次元半導体のカーボンナノチューブと2次元半導体のセレン化タングステンを使い、これらのナノ物質の構造を原子レベルで明らかにした上で異次元ヘテロ構造を作製した。 バンドエンジニアリングの概念に基づき、電子と正孔が分かれやすいヘテロ構造を特定し、その発光特性を調べた。その結果、室温で明るい量子発光を示す界面励起子が存在することを確認した。 異次元ヘテロ構造の界面励起子が量子光源として振る舞うことは想定外という。室温で動作する通信波長帯の単一光子源として量子技術への応用が期待され、単一光子源の性能向上も見込める
天然のダイヤモンドは、地球の奥深くで炭素原子の集合体が極度の高温・高圧にさらされることで形成されており、人工的に合成ダイヤモンドを作り出す高温高圧法(HPHT法)は地球内部の生成プロセスを再現したものです。新たに、韓国の基礎科学研究院や蔚山科学技術院の研究チームが、常圧でダイヤモンドを作りだす技術を開発したと科学誌のNatureに発表した論文で報告しました。 Growth of diamond in liquid metal at 1 atm pressure | Nature https://www.nature.com/articles/s41586-024-07339-7 Making diamonds at ambient pressure | EurekAlert! https://www.eurekalert.org/news-releases/1042017 Forget B
138億年前、点にも満たない極小のエネルギーの塊からこの宇宙は誕生した。そこから物質、地球、生命が生まれ、私たちの存在に至る。しかし、ふと冷静になって考えると、誰も見たことがない「宇宙の起源」をどのように解明するというのか、という疑問がわかないだろうか? 本連載では、第一線の研究者たちが基礎から最先端までを徹底的に解説した『宇宙と物質の起源』より、宇宙の大いなる謎解きにご案内しよう。 宇宙は何でできているのだろう? 「宇宙は何でできているのだろう?」。この根源的な疑問に、大昔からたくさんの人が思いを巡らせました。 古代ギリシャの哲学者たちは、この宇宙、つまり太陽や地球といったものが、何でできているのかを考えました。この宇宙は、火、水、土、空気でできていると考えた人もいましたし、どんどんと細かくしていくと、これ以上分割できないとても細かい粒に行きつくはずだと考えた人たちもいました。 中でも古
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