現在の世の中、喫煙が厳しく制限されつつあることに苛立ちを覚える喫煙者の方も多かろうと思う。その一部は嫌煙論をファシズムと同一視するなどの過激な論を展開している。半分ばかりその心境に理解を寄せぬでもないが、大方が単なるヘイトスピーチに堕しているのが実情だ。 一般に喫煙には受動、能動を問わず健康に害があるものと理解されている。これは疫学による研究結果が示すところだが、医療関係者の中にすらその結論を認めぬ者がいる。 疫学とは、医学と社会学の間に位置するような学問である。統計情報を元に病害の因子を探し当てることで被害の拡がりを抑えることを目的とする。 医学と違って、疫学では病原物質を特定しない。あくまで社会学的な知見から「高い割合で患者に共通する地理的/行動的特徴」を見出し、それが非患者にほとんど見られないことを示す形で「何が病を発生させているか」を探る。喫煙と疾患の関係で言えば、煙草に含まれる物