自然科学が成功した理由の一つに、相互評価がある。新しい仮説を提唱したときには、手段・方法・対象を明確にして、第三者が検証できるようにしなければならない。また、その仮説がこれまでの知見に矛盾しないか、矛盾するならばどのようにその矛盾が説明されているのか、第三者によってチェックされなければならない。こうしたルールは最善のものではないかもしれないけれども、我々にこれ以上のことができるだろうか。たまに、こうした科学のルールに従わない人たちもいる。 というのも、最近機会あって、「ダーウィンよ さようなら」(牧野尚彦著 青土社)という本を読んでみたのだが、まあ酷いとしか言いようがない内容だった。ダーウィン進化論は間違っていて、その代わりに「生体高分子系には認識的に自己組織化する能力がある」という説を持ち出している。進化論と創造論から来られた方なら、「ああ、いつものやつね」という代物。しかし、進化生物学