およそ、自分の頭できちんと物事を考えられる人間なら、昨今の猖獗を極める嫌煙・禁煙運動に危機感を覚え、「こういう集団狂気が蔓延る文明社会とは、どこかが根本的におかしいのではないか」と考える筈である。そう考えない人間はおよそ知識人にあらずと断言したい。嫌煙・禁煙運動の跳梁跋扈を見て見ぬふりをしている思想家、哲学者、社会学者の類は、似非知識人であり、その大学教授等の詰らぬ看板を早々に下ろした方が良い。なぜなら、今の嫌煙・禁煙運動には、医学と疫学の誤用と悪用から始まり、科学者の思考の浅薄さをあざとく利用した大衆煽動、現代民主政のMobocracy化など、現代文明が抱える宿痾が、それこそてんこ盛りで凝結しているではないか。これを研究対象とせずして、一体、何を研究するというのだろうか。 平凡社新書「タバコ狩り」を上梓した室井尚氏は、行過ぎた嫌煙・禁煙運動が社会を蝕む危険性に早くから警鐘を鳴らしてきた慧