1日午前0時半。東京・霞が関の財務省庁舎の中庭から、5台のバスが連なるように出発した。終電後まで働く職員のために、財務省が1984年から運行している「帰宅の足」だ。 行き先は、東京北部の「十条・赤羽」、南西部の「目黒・世田谷」など5方面。37人が分乗した。隣接する外務省や金融庁の職員が利用することもある。車内灯に照らされた顔には疲れの色が浮かぶ。 最終便は、7、8月は午前1時45分。ほかの月は午前3時。なぜ、長時間労働が常態化しているのか。 国会の会期中は、議員の質疑への対応に追われる。役所が与野党議員の質問内容を事前に把握する「質問取り」を始めるのは、夜になることが多い。翌日の国会日程と質疑者が夕刻に確定するまでは動けない。 質問取りを終え、担当課が答弁づくりに着手するが、「時間内に収まりそうにない大量の質問が用意され、意味もつかみづらい場合がある」(財務省幹部)。上司らのチェックを経て