家の表玄関から道を行けば、K子の職場にたどり着きます。 彼女は週五日そこへ通い、賃労働に勤しむ老年女性。 そんな暮らしながらも、彼女の興味は別の領域にも向けられており、そのエリアへも足繁く向かうのでした。 そこは極々身近にあり、家の裏口からちょいと足を踏み出せばその世界。 そこでは様々な人が、様々な活動を繰り広げ、賑わっています。 彼女のように散策目当てで歩く方たちも大勢。 それぞれが自由に歩くことができる場所ですが、K子はやや用心深くそこを歩きます。 帰路が分からなくなるような場所へうっかり迷い込まないように!とキョロキョロと視線をさまよわせながら歩くのです。 このエリアを何と呼べばよいでしょうか? とりあえず「町」としておきましょう。 「町」の入り口は気軽に歩けます。 おみくじ屋、手相見、星見の店などが並んでいます。 キラキラした石を並べている露店もありますが、それらは安価で自分の慰め