手塚治虫は昭和20年代に発表した初期作品の中で、数多くの“ロボット”を登場させてきた。その延長線上に生まれたヒューマノイド型ロボットの、ひとつの究極のカタチとも言えるのが、言わずと知れた“鉄腕アトム”である。アトムは当初、亡くなった少年の身代わりとして造られたいわば代用品だった。だが彼はやがて意志を持つようになり、豊かな感情表現を獲得し、人間のように泣き、怒りながら、自らの存在意義を探すようになる。そしてついにはロボットとしてのプライドをも獲得することになるのだ。今回はそんな鉄腕アトムのロボットとしての進化の過程を追ってみよう!! ◎昭和26年、身代わりロボットとしてのアトム誕生 昭和26年4月、雑誌『少年』で『鉄腕アトム』の前身『アトム大使』の連載が始まった。 そのアトム誕生のエピソードが描かれたのは連載の第4回目だ。天馬博士の愛するひとり息子・トビオが交通事故で死んでしまい、博士はその