戦争を遂行する能力を構築するためには、財政的な裏付けが必要です。軍隊を構成する人員、武器、装備などの要素は、すべて国内で動員される必要があり、その費用は国庫から支出されなければならないためです。ジエリンスキー氏の『戦費の支払い方(How States Pay for War)』(2016)は、近代以降に国家が戦争を遂行するため、どのような手段で戦費を調達してきたのかを歴史的に考察した研究です。 Zielinski, R. C. (2016). How states pay for wars. Cornell University Press. この著作の意義は、これまであまり注目されてこなかった要因で国家が戦費を調達する手法に違いを説明できることを明らかにしたことです。著者は第1章で、一般的に国家の指導者が戦費を調達する手法は3種類に大別することができると論じています。第一の手法は直接的資
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