「労働ダンピング」(中野麻美・岩波新書)を読みました。もっと早くに読むべき本でしたが、集会で著者本人の話を聞いたこともあり、何となくわかっているような気がして、遅くなりました。規制緩和の名のもとに進行している雇用ルールの破壊について、弁護士の立場でかかわる数多くの事例を通して、労働が商品としてダンピングされている現状を告発しています。現状の報告の部分は、すでに何年も前から問題にされていて、言い古されたことですが、まだ現状がよくわかっていない方は、本書で認識を改めてください。労働者の基本的人権を保障することが、繁栄する市民社会の基礎であった筈なのに、その根底が市場原理の導入によって「融解」を始めているのです。 労働をコストとして徹底させるなら、安いほどいいのは当然で、競争入札で「値段と品質」を競わせればいいのです。成果主義を徹底させて正社員の一部に労働時間の規制をなくす「ホワイトカラー・エ