「新型コロナは風邪と同じ」「自粛する日本人はバカだ」……。真面目に生活している人に「自粛厨」「コロナ悩」などとレッテルを貼る学者や言論人がのさばってきた。評論家・中野剛志氏と、作家・適菜収氏が語りあった書、新刊『思想の免疫力』が8月10日に発売(Amazonは12日)になる。ここで語られるテーマは深く、そして永遠のテーマだ。「知識人が陥りがちな罠」とは何か? それは言葉を持った人間の宿痾とも言えるものだった……。 コロナ禍のGW。3回目の緊急事態宣言が発令された東京(2021年5月3日) ■人を説得することは可能なのか? 適菜:小林秀雄は、若い頃は人を説得しようとすることが多かったそうです。それで相手を叱ったり、非難したりしていた。でも年を取ったら丸くなっちゃった。「丸くなった」という言い方が適当か分かりませんが、説得は無駄だと思うようになった。小林はこう言っています。 《僕は、とにかく人
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