生成文法理論により現代言語学に革命をもたらしたアメリカの言語学者ノーム・チョムスキーは、政治評論家・活動家の顔も持っている。というより、現在の読書界ではむしろアメリカ政府批判の論客として知られていると言ったほうがよいかもしれない。とりわけ9.11以降は、ますます精力的に政治評論に注力しており、邦訳された本も多い。 そのチョムスキーが2002年から2007年まで「ニューヨークタイムズ」に寄稿してきた政治論文をまとめたのが本書だ。原題は『Interventions』。「介入」や「干渉」といった意味を持つが、邦題の「お節介」は言いえて妙。 2002年といえば、9.11同時多発テロの翌年、アメリカ連邦議会がブッシュ大統領にイラクを攻撃する権限を与えた年だ。その後、周知のとおりアメリカ(とその同盟国)はイラクに侵攻、そこで巻き起こされた混乱は現在もなお多数の犠牲者を出しながら続いている。 本書でチョ