他人よりも感受性が高い自覚がある。音楽や映画に共感して涙ぐんでしまうし、他人の苦労話には真摯に聞き入ってしまう。周りのことにいつも気をかけ、不穏な兆候があれば積極的に助けにいく。「頼りやすい。」「甘えやすい。」異性からのそんな評価に心の中でいつもほくそ笑む。同性の友人達も、口では言わないが同じような評価であることは察するに容易い。 疲れる性格だ、もっと鈍感でありたかった。周囲に敏感であることは、常に何かに怯えていることと同じだ。考え込みすぎては勝手に1人で憔悴し、八方美人な振る舞いは時に自分の許容量を超えて破綻する。不安な気持ちを誰かに吐露しようと試みるも、そんな都合の良い人間は周囲にはなかなかいない。勇気を出して彼女に吐露しても、お決まりの肯定の言葉が帰ってくるだけだった。なぜだろう。こんなにも周りに尽くしているのに、なぜ自分に尽くしてくれる相手はいないのだろう?なんで俺は満足しないのだ