知っているようで、ほとんど知らない風邪の秘密【10】 このコラム、風邪シリーズも10回目になりました。このシリーズでは「風邪」の定義を「急性の上気道炎症状をきたす感染症」としています。これまでにウイルス性や、細菌性でも軽症の風邪であれば、たいていの場合、抗菌薬はもちろん、薬は必ずしも必要でないということを繰り返し述べてきました。 ではウイルス性のものであればすべて軽症かというとそうではありません。小児の場合はアデノウイルスやRSウイルス(最近これらは比較的簡単な検査で調べることができるようになっています)が見つかれば、たいていは入院になります。最近では高齢者施設でもRSウイルスが猛威を振るうことが報告されています。 しかし、重症化することがあるウイルス性の「風邪」で、最も重要なものはインフルエンザ(注1)に他なりません。小児や高齢者では、特に持病を持っている場合、インフルエンザは死に至る風