2010年、国際宇宙ステーション(ISS)にシロイヌナズナという小さな白い花の種が送られた。といってもISSを飾るためではなく、無重力下で植物の根がどのように成長するかを調べる実験のためだ。 重力は根の成長に重大な影響を及ぼすが、宇宙環境に置かれた植物は、重力がなくとも問題なく育つことがわかった。フロリダ州ゲインズビルにあるフロリダ大学の研究チームは、これは植物に備わっている、成長の方向を制御する能力に関係があるとみている。ISSで発芽した種から生えた根は、地球上と同じふるまいを見せた。重力のある環境で育った場合とまったく同じように、養分と水を求めて種から遠い方向へ伸びていったのだ。 NASAの資金によるこの実験で植物が栽培されたISSは当時、地球の約350キロ上空の軌道を周回していた。したがって、この実験結果は、重力の導きがない環境下に置かれても、植物は地球上と同じ性質を持ち続けることを