『いかに終わるか: 山野浩一発掘小説集』 山野浩一,岡和田 晃 小鳥遊書房 2,750円(税込) 商品を購入する Amazon HonyaClub HMV&BOOKS honto これは好企画。1960年代に英米で巻きおこったニューウェーヴSF運動に呼応して、日本SFに独自の境地を拓いた山野浩一の短篇集で、これまで雑誌に発表されたまま埋もれていた作品や未発表作品などを集めている。ちなみに山野の短篇代表作は、『山野浩一傑作選Ⅰ 鳥はいまどこを飛ぶか』『同Ⅱ 殺人者の空』(創元SF文庫)の二冊にまとめられている。現在は電子書籍版が入手可能だ。 さて、この新しい短篇集、「発掘小説」といってもけっして落ち穂拾いではない。たとえば、巻頭に収められた二篇、「死滅世代」と「都市は滅亡せず」は、山野がめざしたSFのありかたを体現し、きわめて重要な作品である。 「死滅世代」は、全世界で動乱と犯罪が激化し、ひ