ヘイトクライムの被害はこれだけにとどまらず、「店内で誰かが刺されたんだって?」などという事実とまったく違う情報が流れてしまうことにAさんは心を痛めていた。「投石時、店内は無人でしたし、スタッフもお客さんも誰もおらず、誰も怪我などしていないんです。個人的な恨みがあってうちの店が狙われたわけでもありません」。 レストランである以上、顧客や住民たちに「トーランスの日本食店に行くのが怖い」と思われてしまうとしたら、そのこと自体が、ヘイトクライムの2次的な被害でもあるのだ。 メキシコ人店長がいま感じていること 事件後の昼時に「Matsui」を訪れると、ひっきりなしにテイクアウトの注文が入っており、店長のアルトゥロ・ラミレスさんが大忙しで笑顔で対応していた。「幸い、事件後も多くのお客さんが来店してくれ、私たちは1人じゃないんだ、と励まされています。今、店内での飲食はできないし、スタッフの数も減らさなけ