自殺は数ある選択肢の一つではない。 たった一つ自分に課せられた必然である。 本牧通りを歩いていた。不動産屋の前に警察官が六人、七人、いや、八人はいただろうか。このあたりでは珍しい光景ではない。 いつの間にか同じ場所の店が三つも変わった。前の二つの店主はどこに行ったのだろう? そこで働いていた人はどこに行ったのだろう。この世ではないどこかにいったのだろう。 ダートに戻ったところでバンズームは勝つことができなかった。先週も今週も中山の芝はタイキシャトルと決めていたのだから、素直にストレイトガールから行けば、サクラプレジデントの子にも手が回ったのだから当てることができたのに、おれの手元にあるのは香港馬の馬券だった。紙の馬券ではないが。桜木町の場外で働いていた人たちはどこに行ったのだろう。 試供品のメンソール煙草を窓の外に吐き出して思う。向かいの汚いアパートにはどのような人間が何年住んでいるのだろ