【 山崎まどか / コラムニスト 】 戦争が続くウクライナとロシア。現代小説と百年前の女性詩人の声から、何かを掴みたい。 『わたしは異国で死ぬ』 カラーニ・ピックハート(著) ウクライナは現在も戦闘のただなかにある。爆撃によって一般人が亡くなる日々が続く。ロシアとウクライナの因縁は深く、国としてのアイデンティティを求めるウクライナの人々はずっと抑圧されてきた。この小説は今から約十年前、親ロシア的な政策を強める当時の大統領に反旗を翻した市民たちによる「マイダン革命」を背景としている。非武装の市民たちは武力行使によって弾圧されそうになり、多くの活動家やジャーナリストが誘拐されて行方不明になった。 物語の舞台はキーウ。野戦病院と化した修道院。カーチャはアメリカからボランティアとして赴いた医師。実はウクライナ出身だが、赤ん坊の時に養父母に引き取られた彼女は、自分のルーツをよく知らない。彼女が看病に
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