2015.11.20 Fri フランスにおけるイスラームの現状、融合と分裂 SYNODOSが選ぶ「日本語で読む世界のメディア」(東京外国語大学) パリのテロ事件に続く論争は、ダーイシュ(イスラーム国)がフランスと西洋一般に対して行うテロとの闘いの一部にのみ集中している。実際に起きたことの直接的な説明とはなるのであろうが、それではある一つのメッセージを送ることになる。つまり、いま私たちが直面している「フランス版9.11」は、過去25年以上にわたって積み重ねられてきたフランスの政策とは無関係だというメッセージだ。私たちから見ると、それはあのテロ事件とその余波の背後に潜むさまざまな出来事を読むには、あまりに単純すぎる。 私たちが思い出すのは、1989年の「ベール事件」だ。それはイスラームとフランス社会の衝突の最初の火花だった。パリ郊外にある学校の責任者が、1989年度の最初にベールを着けた三人の