決まった質問をぶつけ合うだけで、初対面の相手とも両想いになれる。そんな心理学実験を、あなたは信用する? それとも胡散くさいと思う? 科学の力を信じてこの実験に挑んだ作家の“恋の行方”を追った。 20年以上も前になるが、アーサー・アーロンという心理学者が実験室で見ず知らずの男女を恋に落とすことに成功した。私は昨年の夏、アーロン博士が開発したこのテクニックを自分の人生に応用してみた。私が真夜中の橋の上で、男性の瞳を4分間見つめ続けることになったのは、それが原因だった。 ことの発端は、その男性がその日の夕方、私に言った言葉だった。 「共通点がそれなりにある相手となら、恋に落ちる可能性があるというわけだよね。それなら、好きになる相手をどうやって選ぶべきなんだろうね?」 その男性とは勤務先の大学で顔見知りになり、通っているクライミングジムでばったり会うことが多かった。「もしかすると、もしかして……」