グーグル社が、過去の本も現在の本もひっくるめて、人類がつくりだしたすべての本を網羅的に電子化し、かれらの全文検索サービスの対象にするという「グーグル・ブックス」計画をスタートさせたのが 2005年。これに対してアメリカの作家ギルドや出版社団体が「あきらかな著作権侵害だ」と集団訴訟をおこし、いろいろあったすえに一応の和解にたどりついた――。 この件について私が知っていたのはそのあたりまでです。その後、とくに最近は大地震と大津波、福島原発の崩壊と、すさまじいできごとがつづき、日本のジャーナリズム同様、そとの世界で起きていることがらに関心をもつ余裕をすっかりなくしていた。そんなとき仲俣暁生氏から一通のメールがとどいた。「ニューヨーク・タイムズ」と「ニューヨーク・レビュー・オブ・ブックス」の電子版にロバート・ダーントンの新しい文章がのっている。それを読んで感想をのべよ、というメールでした。 ダーン