3人の国内感染が確認されたデング熱は、戦中には1万人を超える患者を出したこともあったが、その後70年近く国内での感染はなかった。しかし、海外との往来が盛んな現代、国外から持ち込まれたウイルスに、国内で感染する可能性は以前から指摘されていた。厚生労働省も、対策マニュアルを作るなどして警戒を強めていた。 今回、3人は北海道を除く日本各地に生息するヒトスジシマカに刺されて感染したとみられる。一般的に「ヤブ蚊」として知られるヒトスジシマカは、足の白い紋が特徴で、5月中旬~10月下旬に活動する。朝から夕方まで吸血するが、活動範囲は50~100メートルと狭く、30~40日で死ぬ。 このヒトスジシマカが、デング熱を発症する前日から5日後ごろまでの患者の血を吸うと、体内でウイルスが増殖し、次に刺す人を感染させる恐れがある。ただ、熱帯に生息し、国内にいないネッタイシマカに比べ、ヒトスジシマカのウイルス増殖力