デジタルミックスにおけるエフェクトの感覚論はもはや全肯定される。何をやってもいい。だが、その物理効果について把握しているだろうか。リヴァーブに 100msec を超えるプリディレイを設定するとき、音響的にどのような仮想空間が現出するのか。本稿では一種の思考実験としてリヴァーブの初期反射と音響空間の距離関係を考察する。 残響について リヴァーブ(残響音)について確認する。発せられた音が空気を伝播して物体に衝突する時、音響的に見て、反射・拡散・吸音の3つの現象が起こると考えられる。空気の振動が物体に伝わることで物体そのものが振動すると、それが新たな音源となり音を発することで反射・拡散が起こり、振動エネルギーが摩擦効果により熱エネルギーに変換されることで音は減衰し吸音が起こる。 反射とは一次反射を指す。一次反射とは音源からの直接音が一度だけ反射して聴き手に届く最短の反射である。これを初期反射 (