原発事故で注目される「発送電分離」 福島第一原発の事故をきっかけに、電力網の見直しが始まっている。当面の問題は、最大数兆円ともいわれる損害賠償に東電が耐えられるかという問題で、これについては廃炉と賠償を行なう「清算会社」を分離する案が有力だ。それと一緒に出てきたのが発電と送電の分離である。これは電力会社の送電網を別会社にして、電力会社も他の企業も同じ条件で使わせて競争を促進しようというものだ。 これは1980年代に始まった通信の規制改革とよく似ている。日本でも中曽根内閣のとき、第二次臨時行政調査会が日本電信電話公社の分割・民営化を提言したが、労使の強力な政治力で臨調答申の実施を阻止し、民営化は受け入れたが分割は拒否した。その後もNTTの経営形態問題は何度も蒸し返され、1997年には持株会社方式で再編されたが、資本関係は一体のままだった。 NTTは電話網をデジタル化するISDN(統合デジタル