日本では、1990年代後半から医療政策・医療行政に対する疑念が医療従事者のあいだで生まれ始めた[2]。具体的には、1980年中葉以降の医師数抑制政策、医療費抑制政策により、医師不足に陥った病院勤務医が、医療費抑制政策を背景とした病院経営悪化のために過酷な労働を強いられるようになっていたのだという論調の俗説がある(2006年の時点で全国の7割以上の病院が赤字である)[7]。 元財務官僚の村上正泰によれば、「医療崩壊」の最大の原因はこれまでの医療費抑制政策であり、「これまでの医療政策というものは、医療費削減をすべてに優先させてきた悪しき財政再建至上主義の上に成り立ってきた」と指摘している[8]。 しかし、上記俗説に反して、公のデータでは、2012年の日本の医療支出はGDPの10.3%を占めており、これはOECD平均の9.3%より1ポイント高い数字である。 OECD加盟国のほとんどにおいて、医療