2009年11月29日のブックマーク (2件)

  • 只腰親和『「天文学史」とアダム・スミスの道徳哲学』 - 乱読ノート ~出町柳から哲学の道へ~

    書は「経済学方法論フォーラム」の共同メンバーでもある只腰さんが12年前に公刊されたスミス研究書である。スミスの道徳哲学(社会科学)研究の方法上の特質を、彼の学問論・知識論に着目しつつ――とりわけニュートンの天文学とロックの認識論との関連を重視しつつ――明らかにしようとしている。駆け出しの頃に斜め読みしたが、このたびじっくりと腰をすえて読み直す機会を得た。 書が想定している読み手は、『道徳感情論』および『国富論』に関して一定レベル以上の知識を有しているような読み手である。その意味で書は紛れもない専門書なのだが、数多あるスミス研究書とは一味も二味も違っている。文体は簡潔かつ平易であり、論の進め方も丁寧かつ着実である。重要ポイントは繰り返し論じられるため、読み手の頭の中に無理なく入ってくる。いい意味で入門書・啓蒙書の香りを放っている。 18世紀におけるニュートン受容の多様性を論じた第2章は

    只腰親和『「天文学史」とアダム・スミスの道徳哲学』 - 乱読ノート ~出町柳から哲学の道へ~
    kirk111
    kirk111 2009/11/29
  • 杉原四郎『J・S・ミルと現代』 - 乱読ノート ~出町柳から哲学の道へ~

    第一人者の手によるJ・S・ミルの生涯と思想(特に経済思想)についての平易な解説書である。ミル思想の解説書は数多く出版されているが、『経済学原理』に十分なページを割いたものは案外少なく、この点において書の価値は公刊から30年近い歳月を経てもほとんど減じていない。文章は読みやすく、衒学趣味にまったく走っていない。論理も明快である。 リカードウおよびマルクスとの関係で語られがちなミルの経済思想だが、書はスミスおよびマルサスとの関係に関する叙述が充実しており、後者2人を専門としている僕にとって、たいへんありがたいものであった。多くの新しい発見があった。ウェークフィールドの経済学史上の位置なんてまったく知らなかった。スミスの「余剰はけ口説」の再評価した人物だったとはね(pp.23-5)。 著者はミル思想の現代的意義を次のように説いている。 ミルがかえりみられるべき現代の問題として、私はつぎの三つ

    杉原四郎『J・S・ミルと現代』 - 乱読ノート ~出町柳から哲学の道へ~
    kirk111
    kirk111 2009/11/29