ブックマーク / nakazawa0801.hatenablog.com (4)

  • 伊丹敬之『創造的論文の書き方』 - 乱読ノート ~出町柳から哲学の道へ~

    書は論文・レポートの書き方についての「マニュアル」「ノウハウ」では断じてない。「研究者の仕事=創造的な論文を書くこと」を前提としつつ、創造的な論文の質的要件を考察することを通じて、研究者(社会科学者)に必要とされる心がけ(研究者としての要件)について論じたものである。したがって、初めて論文を書こうとする(これまで論文を書いたことのない)者が書を読んでも、益するところはほとんどないであろう。しかし、いったん学部卒業論文を仕上げて、それを修士論文へとブラッシュアップさせたい者にとって、書は益するところ大であるはずだ。実際、僕は書を大学院修士課程における論文指導の授業のテキストとして使用している。 著者は「創造的論文とは、仮説の発想と仮説の論証の二つの創造性が豊かにある論文のことである」(p.5)と述べる。創造的な論文を書くためには、(1)読み手が知的好奇心・知的興奮を覚えるような仮

    伊丹敬之『創造的論文の書き方』 - 乱読ノート ~出町柳から哲学の道へ~
    kirk111
    kirk111 2010/01/11
  • 松原隆一郎『経済学の名著30』 - 乱読ノート ~出町柳から哲学の道へ~

    著者ご人から賜った。感謝。 経済学史上の名著・代表的理論を解説したはすでに数多く出版されているが、書は類書と一線を画す個性を放っている。論壇で現代社会に対する活発な発言を続けてきた著者らしく、経済理論を初学者にもわかりやすく解説する際に用いている具体例が、とにかく秀逸である。 例えば、メンガーの「商品の販売可能性」についての解説はこんな感じだ。 ・・・ある財が財になるのはわれわれがその事物と結ぶ「関係」による・・・。 ・・・ココアは飲料としてはながらくあまり売れない商品だったが、ポリフェノールが多く含まれるとテレビで報じられると、抗酸化作用を持つ健康品として瞬く間に重要に火がついた。供給側はココアを飲料と規定していたが、消費者は健康品としてしか需要していなかったのだ。ココアの販売可能性は、飲料として売ろうとする限り低く、健康品としてであれば高いのである。 これは、需給の不均衡に

    kirk111
    kirk111 2010/01/11
  • 只腰親和『「天文学史」とアダム・スミスの道徳哲学』 - 乱読ノート ~出町柳から哲学の道へ~

    書は「経済学方法論フォーラム」の共同メンバーでもある只腰さんが12年前に公刊されたスミス研究書である。スミスの道徳哲学(社会科学)研究の方法上の特質を、彼の学問論・知識論に着目しつつ――とりわけニュートンの天文学とロックの認識論との関連を重視しつつ――明らかにしようとしている。駆け出しの頃に斜め読みしたが、このたびじっくりと腰をすえて読み直す機会を得た。 書が想定している読み手は、『道徳感情論』および『国富論』に関して一定レベル以上の知識を有しているような読み手である。その意味で書は紛れもない専門書なのだが、数多あるスミス研究書とは一味も二味も違っている。文体は簡潔かつ平易であり、論の進め方も丁寧かつ着実である。重要ポイントは繰り返し論じられるため、読み手の頭の中に無理なく入ってくる。いい意味で入門書・啓蒙書の香りを放っている。 18世紀におけるニュートン受容の多様性を論じた第2章は

    只腰親和『「天文学史」とアダム・スミスの道徳哲学』 - 乱読ノート ~出町柳から哲学の道へ~
    kirk111
    kirk111 2009/11/29
  • 杉原四郎『J・S・ミルと現代』 - 乱読ノート ~出町柳から哲学の道へ~

    第一人者の手によるJ・S・ミルの生涯と思想(特に経済思想)についての平易な解説書である。ミル思想の解説書は数多く出版されているが、『経済学原理』に十分なページを割いたものは案外少なく、この点において書の価値は公刊から30年近い歳月を経てもほとんど減じていない。文章は読みやすく、衒学趣味にまったく走っていない。論理も明快である。 リカードウおよびマルクスとの関係で語られがちなミルの経済思想だが、書はスミスおよびマルサスとの関係に関する叙述が充実しており、後者2人を専門としている僕にとって、たいへんありがたいものであった。多くの新しい発見があった。ウェークフィールドの経済学史上の位置なんてまったく知らなかった。スミスの「余剰はけ口説」の再評価した人物だったとはね(pp.23-5)。 著者はミル思想の現代的意義を次のように説いている。 ミルがかえりみられるべき現代の問題として、私はつぎの三つ

    杉原四郎『J・S・ミルと現代』 - 乱読ノート ~出町柳から哲学の道へ~
    kirk111
    kirk111 2009/11/29
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