最上川が氾濫し浸水した住宅街。早期の避難勧告・指示が命を救った=山形県大石田町で2020年7月29日午前11時5分、藤村元大撮影 記録的な大雨で山形県の最上川が氾濫し、多くの家屋で浸水被害が出たが、これまで死者は確認されておらず、人的被害は最小限に抑えられた。背景には、気象庁の流域水位に関する予想データに基づき、関係者の独自判断によって、最初の氾濫が確認された約4時間前に避難指示が発令されたことがあった。被害拡大前の早期の判断が、生死を分けることを裏付けた形だ。【的野暁】 「4時間後には最上川が危険水位に達します。明るいうちの避難をお願いします」。28日午後5時ごろ、国土交通省新庄河川事務所の吉柳(きりゅう)岳志(たけし)所長は携帯電話で、大石田町の村岡藤弥町長に警告した。