技能実習生として来日したベトナム人が、劣悪な労働環境に耐えかねて実習先から失踪するケースが急増している。正規の仕事に就けず行き場をなくして犯罪に手を染めたり、新型コロナウイルスの影響で実習先が破産したり経営難で解雇される事例も起きている。国は実習生の転職を認める特例措置を設けるなど対応に乗り出しているが、安価な労働力として実習生を利用し続けてきた日本の「ゆがみ」も透ける。(飯嶋彩希) 劣悪な環境 「悪いことだと分かっていたが、家族を養うために働き続けるしかなかった」 関東にある建設会社で約1年間実習生として就労した後、失踪したチャン・ヴァン・フンさん(37)は、こう打ち明けた。 就労先は残業時間と比べて給料が安く、住み込み先の光熱費などを差し引かれ、想定していたよりも手取りは少なかった。「来日時に借金もしており、割に合わないと思って逃げた」 約2年間に及んだ失踪期間中は、日本にあるベトナム