涙が止まらなかった。アジアラグビー史上初のW杯決勝トーナメント。10月20日の準々決勝で、南アフリカに3-26で完敗した。しかし悔し涙ではなかった。 万雷の拍手が降り注ぐ東京スタジアムで、スクラムハーフの田中史朗は夢にまで見た光景に囲まれていた。ラグビーを日本の文化にしたい――そんな大志を抱いて行動してきた34歳に、待望のフィナーレは待っていた。 「日本にラグビー文化が根付く第一歩が、僕たちのベスト8です。若い選手がこれからの日本を引っ張っていってくれれば、もっともっと文化も根付いていきますし、もっと上を目指せると思います」 これが最後かもしれない。そんな想いもよぎった。 2008年に日本代表デビューし、W杯は2011年大会から3大会目。166cm72kgの「小さな巨人」は、本大会出場が決定した2023年のW杯フランス大会では38歳になっている。 「長く代表やってきて、次があるかも分からな
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