新築当時、今から46年前の姿。 門や主屋の形は完全に元のまま、庭の松の位置、姿形まで多少茂みが大きくなっただけでまったく元のままの姿が保たれている。 木肌の色だけが大きく変化している。木の肌は外気に晒されると50年ほどでこれだけ変化することがよく分かる。 塀と屋根の入り組んだ構成が面白い。 設計した吉田五十八は1894(明治27)年生まれ、1935(昭和10)年ころには吉田流の和風建築を完成し、新興数寄屋の建築家として名を馳せていた。この猪股邸を設計した1967(昭和42)年には73歳に達しており、これは熟達した巨匠の手慣れた作品である。施工は水沢工務店。