フォレンジック調査(科学的な調査)などの「原本の真正性」を担保している「ハッシュ値」について、数年前にある裁判でとんでもない判決が出された。外国のことではあるが、筆者にとってはショックであった。今回はその事件について述べたい。 「ハッシュ」とは何か? この事件について述べる前に、「ハッシュ値」について少し解説したい。IT専門家にとっても極めて重要なキーワードなので、ぜひご理解いただきたいものである。Wikipediaでは「ハッシュ」の生成計算で用いる「ハッシュ関数」について、次のように定義している。 これだけではやや難解なので簡単に言うと、例えば、あるファイルを配布した場合に、「そのファイルが最後の1ビットまできちんと送信されたのか」「送信中にデータの誤り発生が起きていなかったのか」「途中の経路で改ざんされていないのか」「ウイルスでも中に仕込まれていないのか」――これは送信側、受信側ともに
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