15年に買収したばかりの豪社で減損が発生した日本郵便。横山邦男社長は会見で、買収を「急ぎ過ぎて高値になった」と当時を振り返った。住友鉱の緒方幹信専務は「世界の銅ブームの中で投資を決めたが、みるみる労賃や建設費用が上がった」と述べた。同社は14年ぶりの経常赤字に陥った。見通しを誤り高値づかみした。 一橋大学大学院の伊藤友則教授は、他社への対抗心から経営者が「どうしてもやらなければならないと思い、高い値段で無理な条件でも買収してしまう」ときなどに失敗は起きるとし、「その典型例が東芝のWH買収だ」と指摘する。「国内市場縮小の中での海外買収は投資家の納得感を得やすい」ため、その分リスクへの配慮がおろそかになるという。 先送り体質 いちよしアセットマネジメントの秋野充成執行役員は、損失拡大の背景には日本企業特有の「先送り体質」があり、「サラリーマン経営者でなかなか決断できず、さらに損失が膨らむ構造