高齢者福祉の準備が進まぬまま、超高齢化社会に突入しつつある中国。一人っ子政策はいびつな人口構成と伝統的なモラルの崩壊という深刻な問題をもたらしたが、人口爆発を恐れる政府はこの政策を引っ込められない。急速に老いる大国・中国はどこに向かうのか。 一人っ子政策がすでに破綻していることは、中国ではよく知られた事実だ。だから、先ごろ中央政府の担当者が一人っ子政策をやめる可能性に言及しても、今さら誰も驚かなかった。 国家人口・計画出産委員会の趙白鴿(チャオ・パイコー)副主任は08年2月28日、北京で行われた記者会見で、「時期や方法は答えられない」としながらも、この政策はもはや機能しておらず、見直しが必要だと明言した。「この件は今や政策決定者レベルでも大きな問題となっている」 国民に不人気な一人っ子政策が導入されてほぼ30年。実際にはそれほど厳格に守られてきたわけではない。それでも、この政策は中国の人口