『シリアナ』60点(100点満点中) 社会派映画ではなく歴史映画 冷戦終了後、最大の敵国を失ったアメリカの中央情報局(CIA)は、自らのアイデンティティーをも失いつつあった。衛星等からのシギント(電子情報)に頼り、ヒューミント(人的情報)を軽視、同時に中央政府との駆け引きのうまい官僚的な人間たちに牛耳られていったこの諜報機関は、9.11米国本土テロを許すほどに、没落していったのだという。 かつてこの組織のエース諜報員として、中東で命がけの任務に就いていたロバート・ベアが、自らの著書『CIAは何をしていた?』で明かす上記のような事実は、全米に衝撃を与えた。その著書をもとに、米国と中東産油国をめぐる、報道の表に出ない泥沼の関係、国際社会にひしめく陰謀を暴くのが、映画『シリアナ』。ハリウッドのリベラル映画俳優たちが、こぞって出演を希望した話題作だ。 ストーリーは非常に複雑で、ボーっとしているとあ