エビデンスだけがすべてではない しかし、ここで一番重要なのは、もちろんデータやエビデンスだけがすべてではないということである。 診療ガイドラインも、あくまで臨床現場における意思決定の際の判断材料の1つにすぎない。また、そこに記されているのは、一般的な治療方法であるため、必ずしも1人ひとりの患者にぴったりと当てはまるわけではない。 治療の選択においては、患者本人の症状、置かれた状況に加えて、死生観、価値観、好み、信仰なども考慮されるべきである。患者は数字やデータに還元される無機質な個体ではなく、1人ひとりにはそれまで紡いできた人生の物語がある。 したがって、患者と医師が対等な立場で、最新最善のエビデンスを知り、そのうえで患者本人の症状、状況、そして価値観や「人生の物語」に照らして、適切な選択をすべきである。 そのうえで、患者本人が代替医療を選ぶという選択をしたのであれば、残念ではあるけれど、